派遣留学体験報告書

<体験報告を参考にする際の注意点>
・体験報告の内容は、参加者個人の見解に基づくものです。
・外国への食品の持ち込みには制限があります。各国のルールをよく確認してください。

 基本情報

参加年度(出発年度) 2024年度
留学先国 カメルーン
留学先大学 ヤウンデ第一大学
留学先学部 人文学部人類学科
プログラム開始年月 2024年09月
プログラム終了年月 2025年07月
今回の留学にかかった費用 100万円
留学先大学への諸経費(授業料、寮費以外)の支払い方法 現地で銀行振込
留学を通して得たもの(スキル、経験) 日常生活自体が日本では経験できないものだった。停電・断水はよくあり、洗濯機・電子レンジ等家電も利用しなかったため、節電・節水意識が高まり、持っているものでどうにかする工夫をするようになった。また、日本では出会う機会がない職業や地位の方々とたくさんお話しできたことも貴重な経験だった。10か月の間に数十人ほぼすべての邦人の方々と交流することができ、今後のキャリアについてアドバイスもいただけたので、渡航前よりも将来設計が明確になった。長期休暇には、治安上行くことができる6州すべてを訪れ、大学や日本ではできないこと、学べないことをたくさん体験できた。 一年を通して、外国人や慣れ親しんだ物が少ない環境への適応力、予期せぬトラブルへの対応力、忍耐力が伸びたと感じている。

 留学前の準備

留学のためにビザ(査証)を取得したか? はい(事前に日本国内で取得)
今回の留学のために予防接種を受けたか? はい
「はい」の場合、受けた予防接種の種類 黄熱病(必須)、A・B型肝炎、狂犬病、腸チフス、髄膜炎

 留学中

履修した科目 人類学一般理論、人類学的調査の方法、応用人類学:開発プロジェクト、社会人類学の知識:実証主義的認識論とアフリカ文化、英語話者のためのフランス語(人類学科の必修5科目) 開発人類学の理論:内発的発展、生態環境と開発、低開発とアフリカ文化、専門的文献調査入門、グローバル化の社会学(開発人類学選択の必修5科目)
授業内容に対する感想 人類学科の必修授業5コマ/学期を履修した。どの科目でも最初の数回がコース紹介やキーワードの定義に充てられ、毎週先生が来るとは限らないので進度は遅いと感じた。全体的に、基礎的・理論的なことが多く扱われていた。 特に印象に残っている科目は、「開発人類学の理論:内発的発展」。この授業では、「発展」の定義や世界一般の開発学だけでなく、アフリカやカメルーン出身の思想家たちが唱える開発・発展の理論を学ぶことができた。発展を目指す地域自身がアクターとなって開発を進めるという意味の「内発的発展」がキーワードになっており、これまで開発される側であったアフリカで勉強をする醍醐味であると感じた。 講義の仕方は、先生が原稿を読み、学生たちがノートに一言一句逃さず書き取るというディクテーション形式が多い。先生によってはたまにグループ発表課題があったが、授業内でのディスカッションや学生自身が考える時間はなかった。
大学の施設、設備、サービスについて 教室によっては電気がつかない・雨漏り・机イスの故障などガタが多め。 学食は2つあり、校外より安く一食100フラン(25円程度)で食べられるが、開いていないことも多い。それ以外にも売店はたくさんあり、休み時間には行商が軽食を売りに教室に入ってくるので飲食に困ることはなさそう。 お手洗いは少ない。JICAに寄贈された仮設トイレは綺麗だが、警備員がいないと開かないらしい。 メインの図書館に入るためには色々と手続きが必要で、受付で「本には触ってはいけない」と聞いたため結局入らなかった(クラスメイトにも入ったことがある人はいなかった)。人文系の小さめの図書館もあり、そちらは年会費を払うことで入れる。 サッカー・テニス・バスケコートあり。大学のWi-Fiはない。キャンパスにはヤウンデで唯一の映画館がある。 留学生としての立場に関しては、外大からヤウンデ大への留学生として一期生であるだけでなく、ヤウンデ大(少なくとも人文学部)が留学生を受け入れることも初めてだったようで、様々な点で模索中という印象を受けた。その分柔軟に対応してくれる面もあった。
現地学生や他国からの留学生との交流について 日本語、日本文化、日本食、日本の遊び・サブカルチャーなどを紹介したり披露する機会があった
交流活動の具体的な内容 日本に興味を持っている人やアニメ好きな人が多く、空きコマ等に自主的に書道や折り紙を紹介した。日本のお菓子を配ったり、カレーパーティーを開催したら喜ばれた。大学とは別に日本語学校もあり、会話練習や書類作成のお手伝いをしに不定期で通った。
現地でのインターンやボランティア活動等について 実施した
インターンやボランティア活動等の具体的内容 毎週音楽教室で生徒・スタッフ含む様々な年代にヴァイオリンのレッスンを行った。 日本語学校で書道体験会や会話練習・書類作成のお手伝いをした。
お金の持っていきかた 日本の口座のキャッシュカード(ATMで現地通貨を引き出す用)・現金300ユーロ(何かあった時に現地で両替する用)
住居形態 その他(親戚、友人宅等)
住居の手配方法 先生経由で、日本の某大学の研究者・院生用施設の一部屋をお借りした。
家賃(月額) 3万円
家賃の支払い方法 現地で銀行振込
住居に関するコメント・感想 上記施設は生活に必要な基本的なものが揃っており、一階にいる大家さんは日本人との関係が深いため安心感があった。寝室は二部屋、リビング・シャワー・トイレ・キッチンは共用で、短期滞在者(日本人研究者)の出入りがあるが、お話を聞くことができて楽しかった。 キャンパス内の大学寮は個室・相部屋等タイプがあり、格安。学期初めに定員オーバーの時は抽選。家具付き賃貸は大学周辺にはほぼないか、あっても高額。
大学までの交通機関および所要時間 乗合タクシーで15~60分(渋滞による)。徒歩で3km程度。
食事について カメルーンは郷土料理が多く、新しいものが売っていた時は買って食べてみるようにした。道端で軽食からごはんものまで50~300円程度で買うことができる。しかし、一皿の量が多かったり油っぽかったりするので基本的に自炊していた。野菜や果物は近所のマルシェで買い、お肉はフランス系スーパーで買って冷凍保存していた。 レストランは大学の周りや外国人街に行くとたくさんあり、アジア系だと値段は高めだが中華が数店舗、韓国が一店舗ある。
現地の治安状況 ひったくりの現場を見たり殺人事件のニュースを聞いたりすることはあったが、実際に危険な目に遭うことはなかった。Microbeという集団が暴動を起こすことがたまにある。 夜は出歩かない・現地の人と一緒にいる・挨拶をして顔見知りを増やす・混んでいる/運転手だけの乗合タクシーには乗らない、貴重品に気を付けるなど基本的な対策をしていれば大丈夫だと思う。
放課後や休日の過ごし方、お勧めスポットなど) 授業の予習・復習、家事、買い物、研究計画、音楽教室や日本語学校、友人宅訪問、JICA協力隊の方の任地訪問 etc. 現地の学生にとってレストランは高額であるためあまり友達とは行けなかった。その分、よく友人宅で料理を習った。 ムスリム街(Briqueterie)はアフリカ布がたくさんあり、何回も訪れた。長期休暇は南部アフリカを旅行した。

 まとめとアドバイス

留学の目的とその達成度合 ①アフリカの人類学や民族誌を「アフリカの縮図」と呼ばれるカメルーン視点で学ぶという目的はおおむね達成できた。授業では理論的な内容が中心で、民族誌やカメルーンの実例はあまり取り扱われなかった。しかし課外活動や旅行、友人との会話を通して多くの事例に触れることができた。 ②フィールドワークを行うという目的も達成できた。留学中の気づきから卒業論文のテーマを決め、帰国前にインタビュー調査を行った。 ③フランス語力の向上は、予定より達成度が高いと思う。大学の授業は英語で受けられると想定していたが実際は異なったため、日常会話レベルを超えて専門的な用語を学ぶ機会もあった。また、ディクテーション形式の授業が多く、語学力向上には功を奏した。
その他(留学前に準備すべきこと、現地で直面した課題、全般的な感想) 書類の取得に時間がかかる(諸手続きの時に形式主義であると感じた)ので、渡航前からできることは前倒しで進めておくと安心。仏系スーパーや中華系のお店もあるので、日用品はお金を出せば大体手に入る。教員の無断欠勤や約束のドタキャンなど物事が予定通りに進まないことが多く、最初はストレスに感じた。道路状況が悪く、近い場所に行くにも時間がかかる。住居周辺でも大学でも唯一の非アフリカ人だったため、常に絡まれ(激しいナンパや写真撮影、ボディタッチなど)、正直面倒くさいと思うことがあった。金銭感覚の違いを実感させられることも多く、それが原因で浮きたくはなかったのでなるべく現地の人に近い生活をしようと心掛けた。長期休暇の後は日数的にも体感的にも短かったので、調査や最後のお礼などをもっと計画的に行えばよかった。
今後留学する学生へのアドバイスなど カメルーンでは想像の斜め上のトラブルがよく起こります。他の留学生もおらず不安を感じるかもしれませんが、周囲の人に相談すれば親身になってくれます。日本人コミュニティも小さめで温かい方が多いです。 相手の民族語や、カメルーン料理の話は盛り上がります。積極的に地名やカメルーンのスラングを覚えていくと馴染みやすいです。他では経験できないことばかりなので、数々のトラブルを含めて行く価値が高いと思います。健康や安全には気を付けて、困った時は人を頼って、気楽に楽しみましょう!